ごあいさつ

震災の復興もままならないうちに新型コロナウイルス(COVID-19)感染の蔓延と、日本中、世界中が国を挙げて感染拡大を防ぐ体制づくりが進められています。ここ京都においても予断を許さない厳しい局面を迎えています。
このたび京都産婦人科医会会長に就任させていただきました柏木智博です。
大島正義元会長、田村秀子前会長のもとで、広報・総務と副会長を務めて参りましたが、会長という大役を仰せつかり、責任の重大さに身の引き締まる思いであります。
京都産婦人科医会には、京都府内の産婦人科医のほぼ全て、約400名の会員を擁しています。また、京都には京都大学と京都府立医科大学という二つの素晴らしい大学を持ち、所属施設や出身大学の垣根を超えて協力し合う、まさに“オール京都”であると会員の一人としても誇りに思っております。これはこれまでの諸先輩方が築き上げた賜物であり、これからもぜひ受け継ぐべき伝統であると考えております。
医会の目的は、まず、府民の女性の健康を第一に考え、それを守っていくことであります。府民の保健並びに福祉に寄与・貢献することです。そして、もう一つの大きな柱は、府内にいる開業医・勤務医いずれの産婦人科医もが安心して診療・研究ができるような医業環境の整備作りと会員相互の連携親睦を趣旨とすることにあります。
向後2年間、以下に掲げた7つの柱を活動対象にし、確乎不抜の精神で臨んでまいる所存でございます。

 

1.妊娠する前からサポートする体制作り、プレコンセプションケア(妊娠前のケア)の推進です。若い男女の健康・次世代の健康を考える必要があり、性感染症予防、予防接種の必要性、虐待、成人病など自分の健康状態(家系)をもっと知り管理する、子宮がん検診を始め定期健診を受けることなど、今後の医会活動の柱となっていくでしょう。

 

2.HPVワクチン接種勧奨再開に向けて、行政を巻き込んだ取り組みを積極的に行います。
平成25年6月より積極的な接種勧奨が差し控えられてから6年以上が過ぎました。HPVワクチンによって守られるはずの多くの若い女性たちの健康と命は必ず守り通さねばなりません。

 

3.女性のがんサポーティブケア
がん治療が女性のセクシュアリティに及ぼす影響は計り知れないものがあります。しかし、実際に臨床の場でどのように介入していけば良いのかは課題を生じています。
婦人科がんの早期から終末期までを様々な面からサポートするサポーティングケア(支持医療)の体制作りを始めて参ります。

 

4.新生児聴覚スクリーニング(NHS)などの普及に向けてNHS推進協議会が発足しこれまで協議して参りました。その甲斐あって前会長のご尽力によりいよいよ京都市の公費一部助成が今春より始まる予定です。すべての児に障害克服のチャンスが平等に与えられるようにサポートしていく必要があります。

 

5.産婦人科医師の勤務実態と医師の働き方改革
社会全体が働き方改革の必要性が求められる中、医師の過重労働問題が取りざたされるなど、医療界においても喫緊の課題となっています。産婦人科医師の働き方改革の実現のためには分娩取扱い病院の集約化・大規模化も含めた再編や交代勤務制の導入、女性医師の就労支援など、産科医療体制の見直しが必要です。

 

6.分娩取扱い診療所やオフィスギネコロジーの推進
現在、全国の半数の分娩を担い地域医療を支えているのは産科診療所です。これら診療所の確保と保持、産婦人科医師不足を解消するためにも、将来開業後の医業経営の見通しもことのほか重要な因子です。経営上の問題点を洗い出し、改善できる点があれば改めて、少しでも産婦人科希望の増加に繋がるよう考えていきます。
また、女性のあらゆるライフステージを診療・研究の対象とすること、さらに診療分野を高血圧、脂質異常症や耐糖能異常などにも広げ、オフィスギネコロジーを発展させることも取り組むべき課題の一つです。

 

7.周産期医療における災害時対応
地震大国である日本という島国に今後地震、津波、広域な水害を始めとする様々な大災害に対する準備と医療対策を早急に取らなければいけません。また、新型コロナウイルスのような今までの平時では顕在化しなかったこれらの問題にもきちんと迅速な医療整備体制が喫緊に必要です。

 

最後に、京都市の2018年の合計特殊出生率が1.25と、2年連続で減少しました。
出生数は9989人と初めて1万人を下回り、府の合計特殊出生率は都道府県中ワースト3位であります。国と京都府はこれまで以上の大胆でピンポイントの施策と具体的な行動が必要と考えます。
これからの医療や産婦人科を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。
その一つ一つを冷静に落ち着いてこの困難を乗り越えていきたいと思います。
そのためには担当理事はもちろんのこと、すべての会員の先生方のお力添えをいただき、今まで以上のご指導、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

令和2年4月1日

2020・2021年度 会長 柏木智博

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